コンプライアンスの基礎知識を解説しています

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コンプライアンスとは

コンプライアンスとは
 Introduction
 to Compliance

コンプライアンスとは

コンプライアンスの基礎

・コンプライアンスの言葉の語源

「コンプライアンス(compliance)」という言葉の語源はラテン語に由来しており、英語で「完全な」「完成される」を意味する 「complete」とも共通の語源を有しているといわれます。また、「compliance」という名詞のもとになった動詞「comply」に は、「(要求・命令・規則等に)従う、応じる」という意味に加え、「(基準等を)満たす」という意味もあります。

企業実務においては、「コンプライアンス」は、「法令遵守(順守)」又は「法令等遵守(順守)」と訳されることが一般的です。もっとも、「compliance」 という言葉自体からは、何を遵守すべきかは必ずしも明らかではないため、最初に遵守すべき対象は何かということを考える必要があります。

・遵守すべき「法令」とは

最初に、遵守すべき対象となる「法令」という言葉の意味について確認することにしましょう。「法令」という用語は、国会が 立法する「法律」と、法律に基づいて行政機関が制定する「命令」を意味します。命令には、内閣が制定する「政令」、内閣 総理大臣が制定する「内閣府令」、各省大臣が発する「省令」や「規則」などがあります。また、コンプライアンスとの関係 では、地方公共団体が制定する「条例」や「規則」等も、遵守すべき「法令」に含めることができるでしょう。

・守るべき対象の広がり

もっとも、コンプライアンスにおいて、企業が守るべき対象は、このような公の機関が制定する法令だけにとどまりません。 現代では、企業倫理や各種の社内規程、さらには社会一般の規範やルール等も、企業が遵守すべき対象に含むとする 考え方が一般的となっています。コンプライアンスが、しばしば「法令等遵守」と訳される背景には、このような考え方を意 識的に明らかにしようという視点があるといえます。

・積極的な取り組みの重要性

さらに、「遵守」という言葉についても、単に法令等を守ってさえいればよいという消極的な意味にとらえるのではなく、より 積極的な意味を見い出す必要があります。事前規制型の社会から事後救済型の社会への転換が進み、これまで企業の 活動を一律に外側から縛ってきた規制や慣行がなくなることによって、企業には、より自由でダイナミックな活動が可能に なるとともに、それにふさわしいコンプライアンスを自律的かつ積極的に確立することが求められているといえるでしょう。

コンプライアンスと関連する概念

・コンプライアンスとCSR

次に、コンプライアンスに関連する概念について見ていくことにしましょう。企業の経営において、コンプライアンスとともに 使われる言葉の一つに、CSRがあります。「CSR」は、Corporate Social Responsibilityの頭文字をとったもので、 一般的には、「企業の社会的責任」と訳されます。CSRは様々な意味に用いられ、その具体的な内容は国や時代により 異なりますが、大きくは、企業が、経済活動に加えて、社会や環境に対しても責任を果たしていくことを指します。

法令の遵守は、企業が社会や環境に対して責任を果たしていく上で基本となるものです。また、コンプライアンスにおいて 遵守すべき対象には、社会一般の規範やルール等も含まれると考えると、コンプライアンスとCSRは、重なり合うもので あるといえます。一方、コンプライアンスでは、法的な観点からの議論が中心となるのに対し、CSRでは、より倫理的な観 点が強調されるという違いもあります。また、法令等遵守は企業として当然のことであり、CSRは、より積極的な社会貢献 活動のみを指すとする見解もあります。

・コンプライアンスとコーポレート・ガバナンス

コーポレート・ガバナンスは、「企業統治」と訳され、会社の経営体制のあり方のことを指します。コーポレート・ガバナンス については、主に公開会社における経営者支配の問題に対し、どのように対処するのかという問題をめぐって、経営の効 率性の確保と、経営の健全性の確保という2つの観点から議論されてきました。コーポレート・ガバナンスにおいて中心的 な課題となる会社組織の制度設計については、会社法によって、会社の種類ごとに具体的な規定が定められています。

コーポレート・ガバナンスの2つの観点のうち、会社の健全性は、企業不祥事の防止が目的とされており、コンプライアンス とほぼ重なり合うと考えることができます。さらに、コーポレート・ガバナンスをめぐる議論では、株主や従業員はもちろん、 取引先、住民、地域社会などの様々な関係者への配慮が重視される傾向にあり、この点でもコンプライアンスと共通して いるといえます。

・コンプライアンスと内部統制

内部統制の枠組みについての一般的な考え方によれば、内部統制には、財務報告の信頼性、業務の有効性・効率性、 法令等遵守という3つの目的があるとされます。法令等遵守とコンプライアンスを同じ意味であると考えれば、コンプライ アンスは、内部統制の目的の一つと位置付けることができます。いいかえれば、内部統制は、コンプライアンスを達成す るための手段であるともいえます。

また、内部統制の他の2つの目的のうち、財務報告の信頼性については、金融商品取引法により日本版SOX法と呼ばれ るルールが定められており、同法の遵守という面からも重要となります。さらに、業務の有効性・効率性という目的に関し て、法令等遵守における「法令等」の中には、企業の社内規程も含まれるところ、これらの社内規程には、企業不祥事の 防止に加えて、業務の有効性・効率性の確保する目的もあります。このように、内部統制の3つの目的とコンプライアンス は、いずれも密接な関係があるということができます。

・コンプライアンスとリスクマネジメント

コンプライアンスという言葉と、リスクマネジメント(リスク管理)という言葉は、並んで使用されることが多くなっています。 リスクマネジメントとは、事業活動を行う上でのリスクを予測し、リスクやこれによって発生する損害の回避・軽減を目指す ことをいいます。リスクマネジメントの対象には、地震、洪水、台風や落雷のような自然災害から、火災や交通事故のよう な事故まで、事業活動に伴うあらゆるリスクが含まれており、また、これらへの対策にも様々なものが考えられます。

事業活動に伴うリスクのうち、法令等への違反、役員や従業員の不正による企業不祥事、契約違反による損害賠償責任 の発生のような法的リスクについて予測し、これらを予防するための対策を講じることは、リスクマネジメントとコンプライ アンスに共通の課題といえます。また、リスクマネジメントは、内部統制システムと一体となって機能することが求められ ており、コンプライアンスを確立するための重要な手段であるといえます。

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