
6 医療過誤と刑事上の責任
ポイント26.刑事上の責任とは
刑事上の責任とは、医療過誤を起こした医師が、刑事手続により刑罰を課されることです。以前は、医療過誤事件が刑事事件になることは 多くありませんでしたが、近年では、増加の動きも見られます。一方、医療過誤事件については、医師への制裁ではなく、被害者の救済と事故の原因究明、再発防止を重視すべきという指摘もあります。
ポイント27.業務上過失致死傷罪
刑法211条1項前段は、業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処 する、と定めています。業務とは、人が社会生活上の地位に基づき反復継続して行う事務のことをいい、無免許の医業も含まれます。医療 過誤は、この業務上過失致死傷罪に問われることが通常です。
ポイント28.医療過誤に関連する犯罪
医療過誤に関連し、カルテの改ざんなどの行為が行われたときは、 刑法上の証拠隠滅罪に問われるおそれがあります。また、診断書に 虚偽の記載をしたときは、虚偽公文書作成罪や虚偽診断書等作成罪に問われるおそれがあります。なお、異常死を届け出なかったときは、医師法21条の異常死の届出義務への違反も問題となります。
ポイント29.捜査の手続
刑事手続については、刑事訴訟法に定められており、大きく分けると捜査と裁判があります。捜査では、警察が、捜索・差押え、関係者の取調べなどによる証拠の収集を行い、事件を検察官に送致します。 検察官は、必要に応じ補充捜査を行った上で、事件を裁判所に起訴するか、不起訴にするかを判断します。
ポイント30.刑事裁判の手続
検察官により起訴が行われると、刑事裁判の手続が開始されます。 刑事裁判では、最初に、検察官の起訴状朗読と、被告人・弁護人の陳述がなされ、その後、証拠調べの手続が行われます。証拠調べが終わると、検察官の論告求刑と弁護人の最終弁論が行われ、最後に裁判所が判決の宣告を行います。
病院・介護施設のコンプライアンス研修
研修対象者
病院、歯科医院、調剤薬局、介護施設その他の医療機関の役員、スタッフなど

研修の特徴
・医療機関に求められるコンプライアンスを学びます
・医療事故・医療過誤の予防法や対処法を学びます
・職務上の守秘義務や患者情報の保護を徹底します
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研修プログラム(例)
※研修プログラムの内容の一例を、項目形式でご覧頂けます。
※実際の研修では、専用のテキストを使用して解説を行います。