
7 医療過誤と民事上の責任①
ポイント31.民事上の責任とは
民事上の責任とは、医療過誤を起こした医師や医療機関が、患者やその家族から、損害賠償の請求を受けることです。行政上の責任や刑事上の責任とは異なり、患者に対する責任であることが特徴です。 一般に、医療過誤訴訟といわれる訴訟の多くは、この民事上の責任を追及する患者・家族と、医師・医療機関との間の民事裁判です。
ポイント32.不法行為責任
医療過誤の民事上の責任は、大きく分けて、不法行為責任として争わ れる場合と、債務不履行責任として争われる場合の2つがあります。 不法行為責任とは、故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者が、これによって生じた損害を賠償する責任のことであり、医療過誤では、医師の過失が問題となります。
ポイント33.使用者責任
不法行為責任の類型の一つに、使用者責任があります。使用者責任とは、ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負うという制度です。医療機関に勤務していた医師やスタッフによる医療過誤では、その医療機関の責任も、使用者責任として問題となります。
ポイント34.債務不履行責任
債務不履行責任とは、債務者がその債務の本旨に従った履行をしな かったとき等に、債権者に対し、これによって生じた損害を賠償する責任のことです。医療過誤は、診療契約に基づく義務に違反するものとして、医師の債務不履行責任が問題となります。近年では、医師の説明義務違反が債務不履行に問われることも多くなっています。
ポイント35.不法行為と債務不履行
医療過誤は、被害者から、不法行為責任と債務不履行責任のどちらか一方か、あるいは、その両方の責任が主張されます。債務不履行は、不法行為に比べて、裁判における立証の容易性や消滅時効の期間の点で、被害者に有利であるといわれることもありますが、実際には、一概に有利であるとまではいえないという指摘もあります。
病院・介護施設のコンプライアンス研修
研修対象者
病院、歯科医院、調剤薬局、介護施設その他の医療機関の役員、スタッフなど

研修の特徴
・医療機関に求められるコンプライアンスを学びます
・医療事故・医療過誤の予防法や対処法を学びます
・職務上の守秘義務や患者情報の保護を徹底します
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研修プログラム(例)
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