
8 医療過誤と民事上の責任②
ポイント36.民事裁判の手続
民事上の責任は、民事裁判によって追及されることになります。民事裁判は、原告による訴状の提出によって開始され、これに対する被告の答弁書の提出、法廷における口頭弁論、争点整理手続、証拠調べなどの手続を経て、裁判所が判決をすることになります。民事裁判は手続の途中で、当事者の和解によって解決することもあります。
ポイント37.医療過誤訴訟の特徴
医療過誤訴訟は、一般の民事訴訟と比べ、高度な専門的知識が必要とされ、審理にも長期間を要するのが特徴です。東京地裁などの裁判所では、医療に関する民事事件を集中的に扱う医療専門部が設置されています。また、事件の審理にあたっては、鑑定人などの形で医学的な知識を有する専門家が関与することが多くなっています。
ポイント38.医療過誤訴訟の争点
医療過誤訴訟において、医師の不法行為責任が追及される場合に、大きな争点となるのが、医師の過失の有無です。さらに、仮に過失がある場合も、結果との間の因果関係の有無が問題となります。一方、医師の債務不履行責任が追及される場合には、医師に債務不履行の事実があったといえるかどうかが争点となることが通常です。
ポイント39.医療過誤訴訟と証拠保全
医療過誤訴訟では、診療記録をはじめ、証拠の多くが医療機関側に集中しています。そのため、訴訟の提起前に、患者側から証拠保全の申立てが行われることがあります。証拠保全とは、あらかじめ証拠調べをしておかなければ、その証拠を使用することが困難となる事情があるときに、あらかじめ証拠を確保しておくための制度です。
ポイント40.医療ADRの活用
近年、裁判以外の医療過誤紛争の解決方法として注目されているのが、医療ADRです。ADR(Alternative Dispute Resolution)とは、 あっ旋や調停、仲裁等の紛争解決手続を指し、裁判に比べると手続が簡易で、柔軟な解決がはかりやすいというメリットがある一方、手続保障や権利保護が不十分になるおそれがあるという指摘もあります。
病院・介護施設のコンプライアンス研修
研修対象者
病院、歯科医院、調剤薬局、介護施設その他の医療機関の役員、スタッフなど

研修の特徴
・医療機関に求められるコンプライアンスを学びます
・医療事故・医療過誤の予防法や対処法を学びます
・職務上の守秘義務や患者情報の保護を徹底します
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研修プログラム(例)
※研修プログラムの内容の一例を、項目形式でご覧頂けます。
※実際の研修では、専用のテキストを使用して解説を行います。