
フリーランス法の罰則について簡単にわかりやすく解説
フリーランス法に違反した場合の制裁には、大きく分けて、行政上の制裁、刑事罰、民事上の責任の3つがあります。
行政上の制裁
フリーランス法のうち、取引の適正化に係る規定については主に公正取引委員会及び中小企業庁が、就業環境の整備に係る規定については主に厚生労働省がそれぞれ執行を担っています。
・取引の適正化に係る規定への違反
勧告
公正取引委員会は、業務委託事業者が下記の規定に違反していると認めるときは、当該業務委託事業者に対し、速やかに必要な措置をとるべきことを勧告することができるとされています。
- 給付内容の明示等
- 受領拒絶の禁止
- 報酬減額、返品、不当に低い報酬額、購入・利用の強制の禁止
- 経済的利益の提供、やり直しの禁止
- 報復の禁止
命令・公表
公正取引委員会は、上記の勧告を受けた者が、正当な理由がなく、当該勧告に係る措置をとらなかったときは、当該勧告を受けた者に対し、当該勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができるとされています。
また、公正取引委員会は、命令をした場合には、その旨を公表することができるとされています。
・取引の適正化に係る規定への違反
勧告
厚生労働大臣は、特定業務委託事業者が下記に違反していると認めるときは、当該特定業務委託事業者に対し、その違反を是正し、又は防止するために必要な措置をとるべきことを勧告することができるとされています。
- 募集情報の的確な表示
- セクハラ、マタハラ、パワハラの防止
- 解除、不更新の予告・報復の禁止
命令・公表
上記の勧告のうち、ハラスメント防止に係るものを除く勧告については、厚生労働大臣は、当該勧告を受けた者が、正当な理由がなく、当該勧告に係る措置をとらなかったときは、当該勧告を受けた者に対し、当該勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができるとされています。
また、厚生労働大臣は、命令をした場合には、その旨を公表することができるとされています。
一方、ハラスメント防止に係る勧告については、命令に至らなくても、当該勧告に係る措置をとらなかったときは、その旨を公表することができるとされていることに注意が必要です。
刑事罰
次のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、50万円以下の罰金が科されます。
- 公正取引委員会又は厚生労働大臣の命令に違反したとき
- 公正取引委員会又は厚生労働大臣の要請(ハラスメントに係るもの以外)に対して報告をせず、虚偽の報告をし、又は検査を拒み、妨げ、忌避したとき
また、法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して上記の違反をしたときは、その法人に対しても、50万円以下の罰金が科されます(両罰規定)。
また、次に該当する場合には、当該違反行為をした者は、20万円以下の罰金が科されます。
- 厚生労働大臣の要請(ハラスメントに係るもの)に対して報告をせず、虚偽の報告をし、又は検査を拒み、妨げ、忌避したとき
民事上の責任
フリーランス法は、国が事業者に対する規制や罰則を定める法律であるため、業務委託事業者がフリーランス法に違反したからといって、ただちに業務委託事業者が特定受託事業者に対する民事上の責任を負うことになるとは限りません。
ただし、業務委託事業者の取適法への違反が民法上の不法行為に該当するものとして特定受託事業者に対する損害賠償責任を負う可能性や、フリーランス法に違反した業務委託事業者と特定受託事業者間の契約が公序良俗に反するものとして無効にされる可能性も否定できません。
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