独占禁止法違反の罰則について簡単にわかりやすく解説

独占禁止法の罰則について簡単にわかりやすく解説

独占禁止法に違反した場合の罰則には、大きく分けて、行政上の制裁、刑事罰、民事上の責任の3つがあります。

行政上の制裁

排除措置命令

公正取引委員会は、事業者に対し、独占禁止法に違反する行為を排除するために必要な措置を命ずることができるとされており、これを排除措置命令といいます。排除措置命令の対象となる行為は、私的独占、不当な取引制限、不公正な取引方法等です。

課徴金納付命令

公正取引委員会は、独占禁止法に違反する行為を行った事業者に対し、一定の額の課徴金を国庫に納付することを命じることができるとされており、これを課徴金納付命令といいます。課徴金納付命令の対象となる行為は、私的独占、不当な取引制限、不公正な取引方法のうち、共同の取引拒絶、不当な差別的対価、不当廉売、再販売価格、優越的地位の濫用等です。

刑事罰

私的独占又は不当な取引制限をした者には、五年以下の懲役又は五百万円以下の罰金が科されます。また、法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して私的独占又は不当な取引制限をしたときは、その法人に対しても、五億円以下の罰金刑が科されます(両罰規定)。

刑事罰の対象となる行為は、私的独占又は不当な取引制限であり、不公正な取引方法は対象とはなりません。

民事上の責任

無過失損害賠償責任

私的独占、不当な取引制限、不公正な取引方法等を行った事業者は、被害者に対し、損害賠償の責めに任ずるとされています。そして、事業者は、故意又は過失がなかつたことを証明して、この責任を免れることができないとされており、これを無過失損害賠償責任といいます。

差止請求権

不公正な取引方法によってその利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、これにより著しい損害を生じ、又は生ずるおそれがあるときは、その利益を侵害する又は侵害するおそれがある事業者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる、とされており、これを差止請求権といいます。差止請求権の対象となる行為は、不公正な取引方法であり、私的独占又は不当な取引制限は対象とはなりません。

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