独占禁止法の不公正な取引方法について簡単にわかりやすく解説

不公正な取引方法

独占禁止法の不公正な取引方法について簡単にわかりやすく解説

不公正な取引方法とは

不公正な取引方法とは、次のいずれかに該当する行為をいいます。

  1. 共同の取引拒絶
  2. 不当な差別的対価
  3. 不当廉売
  4. 再販売価格の拘束
  5. 優越的地位の濫用
  6. 上記のほか、一定の行為であって、公正な競争を阻害するおそれがあるもののうち、公正取引委員会が指定するもの

上記のように不公正な取引方法には様々な行為が含まれます。このうち、特に問題となりやすい行為として、下記のものがあります。

再販売価格の拘束

4.の再販売価格の拘束は、自己の供給する商品を購入する相手方に対して、正当な理由がないのに、(イ)販売価格を定めて維持させるなど、相手方の販売価格の自由な決定を拘束する、又は(ロ)相手方に、相手方から商品を購入する事業者の販売価格の自由な決定を拘束させる、といった条件を付けて、商品を供給することをいいます。

優越的地位の濫用

5.の優越的地位の濫用は、自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して、正常な商慣習に照らして不当に、(イ)継続して取引する相手方に対する商品・役務の購入・利用強制、(ロ)継続して取引する相手方に対する経済上の利益の提供要請、(ハ)取引の相手方に対する商品の受領拒否、返品、支払遅延・減額、その他取引の相手方に不利益となる取引条件の設定等の行為をすることをいいます。

一般指定と特殊指定

6の公正取引委員会が指定する行為には、業種を問わずに適用される一般指定と、特定の業種に適用される特殊指定があります。このうち、一般指定では、取引条件等の差別取扱い、不当な利益による顧客誘引、抱き合わせ販売、拘束条件付取引、競争者に対する取引妨害等の行為が指定されています。また、特殊指定では、新聞業、物流、大規模小売業の3つの業種について指定が行われています。

不公正な取引方法に対する制裁

不公正な取引方法は、公正取引委員会による排除措置命令の対象になります。独占禁止法の平成21年改正により、1.共同の取引拒絶、2.不当な差別的対価、3.不当廉売、4.再販売価格の拘束、5.優越的地位の濫用は課徴金の対象とされました。なお、私的独占、不当な取引制限とは異なり、刑事罰の対象にはなりません。一方、被害者に対する民事上の無過失損害賠償責任の対象となることに加えて、不公正な取引方法は差止請求の対象となることに注意が必要です。

不公正な取引方法は、私的独占、不当な取引制限とともに、独占禁止法の違反行為の3類型の1つとされています。不公正な取引方法には、様々な行為が含まれており、企業が競争事業者、取引先や販売代理店に対して、自社に有利な立場を確保しようとするあまり、違反してしまうリスクもあります。自社の事業戦略やビジネスモデルを策定するにあたっては、ビジネスや契約法の視点に加えて、独占禁止法の視点からも検討を行うことが不可欠であるといえます。

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