コンプライアンスとは コンプライアンスの意味を簡単にわかりやすく解説

コンプライアンスとは

コンプライアンスとは コンプライアンスの意味を簡単にわかりやすく解説

ここでは、コンプライアンスの意味について、コンプライアンスの沿革、コンプライアンスの語源、コンプライアンスの対象、コンプライアンスと関連する概念などのテーマごとに簡単にわかりやすく解説しています。

コンプライアンスの沿革

企業の不祥事の防止は古くからの課題でしたが、コンプラインスという言葉が広く使われるようになったのは2000年代に入る頃からです。その背景には、1990年代から大企業の不祥事が相次いで発覚するとともに、これに対する社会的批判が高まったことがあります。

このような流れを受けて、法整備も進められました。2004年6月に制定された公益通報者保護法では、公益通報者の保護を図ることを目的に事業者や行政機関がとるべき措置が定められました。また、2005年6月に制定された会社法は内部統制体制の整備を義務付けており、同年6月に制定された金融商品取引法では内部統制報告書の作成や公認会計士による監査を義務付けています。

このように、企業による不祥事の続発、これに対する社会的批判の高まり、法整備の進展などにより、コンプライアンスの重要性が高まることになりました。

コンプライアンスの語源

「コンプライアンス(compliance)」という言葉の語源はラテン語に由来しており、英語で「完全な」「完成される」を意味する 「complete」とも共通の語源を有しているといわれます。企業実務においては、「コンプライアンス」は、「法令遵守(順守)」又は「法令等遵守(順守)」と訳されることが一般的です。

コンプライアンスの対象

「compliance」という名詞のもとになった動詞「comply」に は、「(要求・命令・規則等に)従う、応じる」という意味に加え、「(基準等を)満たす」という意味もあります。もっとも、「compliance」 という言葉自体からは、何を遵守すべきかは必ずしも明らかではないため、最初に遵守すべき対象は何かということを考える必要があります。

遵守すべき法令とは

最初に、遵守すべき対象となる「法令」という言葉の意味について確認することにしましょう。「法令」という用語は、国会が 立法する「法律」と、法律に基づいて行政機関が制定する「命令」を意味します。命令には、内閣が制定する「政令」、内閣 総理大臣が制定する「内閣府令」、各省大臣が発する「省令」や「規則」などがあります。また、コンプライアンスとの関係 では、地方公共団体が制定する「条例」や「規則」等も、遵守すべき「法令」に含めることができるでしょう。

社内規程・企業内のルール

コンプライアンスにおいて遵守すべき対象は、このような公の機関が制定する法令だけにとどまりません。 企業には、定款や就業規則をはじめ、組織、人事、経理、文書管理や情報セキュリティなどに関する各種の社内規程や、社内規程の形にはなっていない様々なルールが存在します。企業やその役員、従業員には、これらの社内規程や企業内のルールを遵守することも求められます。

社会的規範

もっとも、法令にさえ違反さえしなければ何をやってもよいという考え方に陥ってしまったり、企業内のルールが社会の常識とかけ離れてしまったりする場合もあります。そのため、近年では、法令や企業内のルールに加えて、社会一般の規範やルール等も遵守すべき対象に含むとする 考え方が一般的となっています。コンプライアンスが、しばしば「法令等遵守」と訳される背景には、このような考え方を意識的に明らかにしようという視点があるといえます。

インターネット・SNSの普及

さらに、社会的規範に関連して重要性を増しているのが、インターネットやSNS(Social Networking Service)の普及です。現代では、メディアによる報道に加えて、インターネット・SNSを通じて個人が簡単に情報を発信できるようになったことにより、社会的規範に違反する行為について急速に情報が拡散されたり、大きな批判を受けることが多くなっています。また、社会的規範の内容自体が、メディアによる報道や、インターネット・SNSを通じて形成・変化する場合もあることに注意が必要です。

積極的なコンプライアンスの重要性

最後に、「遵守」という言葉についても、単に法令等を守ってさえいればよいという消極的な意味にとらえるのではなく、より 積極的な意味を見い出す必要があります。事前規制型の社会から事後救済型の社会への転換が進み、これまで企業の 活動を一律に外側から縛ってきた規制や慣行がなくなることによって、企業には、より自由でダイナミックな活動が可能に なるとともに、それにふさわしいコンプライアンスを自律的かつ積極的に確立することが求められているといえるでしょう。

コンプライアンスと関連する概念

次に、コンプライアンスに関連する概念について見ていくことにしましょう。ここでは、CSR、コーポレート・ガバナンス、内部統制、リスクマネジメントなどの用語について、それぞれの意味とコンプライアンスとの関係を解説します。

コンプライアンスとCSR

企業の経営において、コンプライアンスとともに 使われる言葉の一つに、CSRがあります。「CSR」は、Corporate Social Responsibilityの頭文字をとったもので、 一般的には、「企業の社会的責任」と訳されます。CSRは様々な意味に用いられ、その具体的な内容は国や時代により異なりますが、大きくは、企業が、経済活動に加えて、社会や環境に対しても責任を果たしていくことを指します。

法令の遵守は、企業が社会や環境に対して責任を果たしていく上で基本となるものです。また、コンプライアンスにおいて遵守すべき対象には、社会一般の規範やルール等も含まれると考えると、コンプライアンスとCSRは、重なり合うものであるといえます。一方、コンプライアンスでは、法的な観点からの議論が中心となるのに対し、CSRでは、より倫理的な観点が強調されるという違いもあります。また、法令等遵守は企業として当然のことであり、CSRは、より積極的な社会貢献活動のみを指すとする見解もあります。

コンプライアンスとコーポレート・ガバナンス

コーポレート・ガバナンスは、「企業統治」と訳され、会社の経営体制のあり方のことを指します。コーポレート・ガバナンスについては、主に公開会社における経営者支配の問題に対し、どのように対処するのかという問題をめぐって、経営の効率性の確保と、経営の健全性の確保という2つの観点から議論されてきました。コーポレート・ガバナンスにおいて中心的な課題となる会社組織の制度設計については、会社法によって、会社の種類ごとに具体的な規定が定められています。

コーポレート・ガバナンスの2つの観点のうち、会社の健全性は、企業不祥事の防止が目的とされており、コンプライアンス とほぼ重なり合うと考えることができます。さらに、コーポレート・ガバナンスをめぐる議論では、株主や従業員はもちろん、取引先、住民、地域社会などの様々な関係者への配慮が重視される傾向にあり、この点でもコンプライアンスと共通しているといえます。

コンプライアンスと内部統制

内部統制の枠組みについての一般的な考え方によれば、内部統制には、財務報告の信頼性、業務の有効性・効率性、 法令等遵守という3つの目的があるとされます。法令等遵守とコンプライアンスを同じ意味であると考えれば、コンプライ アンスは、内部統制の目的の一つと位置付けることができます。いいかえれば、内部統制は、コンプライアンスを達成するための手段であるともいえます。

また、内部統制の他の2つの目的のうち、財務報告の信頼性については、金融商品取引法により日本版SOX法と呼ばれるルールが定められており、同法の遵守という面からも重要となります。さらに、業務の有効性・効率性という目的に関して、法令等遵守における「法令等」の中には、企業の社内規程も含まれるところ、これらの社内規程には、企業不祥事の防止に加えて、業務の有効性・効率性の確保する目的もあります。このように、内部統制の3つの目的とコンプライアンス は、いずれも密接な関係があるということができます。

コンプライアンスとリスクマネジメント

コンプライアンスという言葉と、リスクマネジメント(リスク管理)という言葉は、並んで使用されることが多くなっています。リスクマネジメントとは、事業活動を行う上でのリスクを予測し、リスクやこれによって発生する損害の回避・軽減を目指すことをいいます。リスクマネジメントの対象には、地震、洪水、台風や落雷のような自然災害から、火災や交通事故のような事故まで、事業活動に伴うあらゆるリスクが含まれており、また、これらへの対策にも様々なものが考えられます。

事業活動に伴うリスクのうち、法令等への違反、役員や従業員の不正による企業不祥事、契約違反による損害賠償責任の発生のような法的リスクについて予測し、これらを予防するための対策を講じることは、リスクマネジメントとコンプライアンスに共通の課題といえます。また、リスクマネジメントは、内部統制システムと一体となって機能することが求められており、コンプライアンスを確立するための重要な手段であるといえます。

コンプライアンス用語集